
第2回 パワー半導体リードフレームとは?
■パワー半導体とは?
パワー半導体は、電力を効率的に制御・変換するための電子部品であり、自動車、産業機器、再生可能エネルギー、家電製品など幅広い分野で使用されています。特に近年では、電動車(EV)や再生可能エネルギーの普及に伴い、その需要が急速に拡大しています。
■リードフレームの役割
リードフレームは、パワー半導体の基板として機能し、半導体チップと外部電極を接続する重要な部品です。リードフレームの品質や特性は、パワー半導体の性能や信頼性に大きく影響を与えます。
■パワー半導体リードフレームの特徴
1.高熱伝導性
パワー半導体は高電力を扱うため、大量の熱を発生します。リードフレームは、その熱を効率的に拡散し、半導体の過熱を防ぐ役割を果たします。そのため、高熱伝導性を持つ銅(Cu)や銅合金が主に使用されます。
2.優れた電気伝導性
パワー半導体は高電圧・大電流を扱うため、リードフレームの電気伝導性も重要です。特に、低抵抗の材料が使用されることで、エネルギー損失を最小限に抑えることができます
3.耐熱性
パワー半導体は高温環境で動作するため、リードフレームには耐熱性が求められます。そのため、表面処理技術としてNi-Pd-Auめっきや銀めっきが施されることが一般的です。
4.高精度加工技術
パワー半導体の性能向上に伴い、リードフレームの加工精度も要求されます。特に微細加工技術(エッチングやプレス加工)が進化し、リードフレームの形状最適化が進んでいます。
■パワー半導体向けリードフレームの用途
1.電動車(EV・HEV)
EVやHEVでは、インバーターやコンバーターにパワー半導体が使用されており、それらの基板としてリードフレームが不可欠です。高出力・高効率のパワー半導体を実現するために、リードフレームの高性能化が求められています。
2.再生可能エネルギー
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーシステムでは、大電力を扱うパワー半導体が活躍します。リードフレームは、これらのシステムの高信頼性を支える重要な要素となっています。
3.産業機器
ロボット、モーター制御装置、電源ユニットなど、産業機器においてもパワー半導体は不可欠です。高効率かつ長寿命のパワー半導体を支えるリードフレームの品質が、機器全体の性能に直結します。
4.家電製品
エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品では、省エネ性能が重視されます。パワー半導体の性能向上に伴い、それを支えるリードフレームの品質向上も求められています。
■最新技術動向
1.SiC・GaNパワー半導体の普及
従来のシリコン(Si)パワー半導体に代わり、SiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)といった次世代パワー半導体が注目されています。これらの半導体は高耐圧・高効率を実現できるため、それに対応するリードフレームの材料開発も進んでいます。
2.高密度実装技術
パワー半導体の小型化・高性能化に伴い、リードフレームも薄型・高密度化が求められています。特に、パッケージング技術の進化により、スペース効率の良い設計が可能になっています。
■まとめ
パワー半導体向けリードフレームは、パワー半導体の性能を最大限に引き出すための重要な部品です。高熱伝導性、優れた電気伝導性、耐熱性、高精度加工技術など、多くの技術的要件が求められます。また、EVや再生可能エネルギーの普及に伴い、リードフレームの進化も加速しています。
今後も、次世代パワー半導体の発展に伴い、リードフレーム技術の進化が求められるでしょう。最新のパッケージング技術にも注目しながら、高性能なリードフレームの開発に取り組んでいくことが不可欠です。
弊社におきましては、パワー半導体向けリードフレームへのReel to Reelによる連続部分銀めっき加工につきまして多くの実績がございます。
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