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酸処理、金属素材ごとの前処理

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酸処理、金属素材ごとの前処理

前処理工程で脱脂洗浄が大切なことは前回の記事でおわかり頂けたかと思います。
では脱脂洗浄の次にはどのような工程があるのでしょうか。

酸処理、金属素材ごとの前処理

1.酸処理工程
脱脂洗浄した後に必要なのは「酸処理」という工程です。
金属の表面に付着している酸化膜や水酸化膜を硫酸や塩酸などで除去する作業のことを酸処理と呼びます。
この酸処理工程は、上記の薬品へ浸漬する「酸浸漬」と、酸浸漬ではとれないような皮膜・錆などを除去するために電気を使用した「電解酸洗」があります。
この酸処理を怠ると素材とめっき皮膜の間に“邪魔な物質”を入れることになり、めっき皮膜の密着へ大きな影響を与えるため、前項の脱脂処理と同様に重要な工程になります。

①酸浸漬
酸化膜を除去し、金属表面を活性化することをいいます。
素材に形成されている酸化皮膜や水酸化物を除去します。硫酸や塩酸、硝酸などの無機酸やこれらの混酸を使用します。

②電解酸洗
熱処理などで発生した厚い酸化膜や頑固な錆等を除去する作業は、酸浸漬では時間がかかりすぎることがあります。
短時間で除去を行う方法として電気分解によるガス発生を利用した電解酸洗という方法を取ります。

電解酸洗・・陰極法(マイナス電解)=電解反応により、ガスを発生させることで除去をする。
    ・・陽極法(プラス電解) =ガスを発生させるが、同時に素材の溶解が伴う。
    ・・PR法         =陰極法、陽極法を交互に行う。


2.その他金属ごとの前処理
金属にはそれぞれ特徴があり、めっきを行う前には素材に合った前処理工程を組むことが重要となります。
ニシハラ理工が扱うめっき素材でも特別な前処理を行う素材があります。

①アルミニウム
アルミ材は非常に酸化しやすい金属なので、酸浸漬をして酸化膜を除去してもその後の水洗工程で再び酸化膜が出来てしまうため、密着性を保持することが出来ません。そのためアルミ材をめっきする際に行われるのが"ジンケート処理"と呼ばれる亜鉛置換処理。
アルミ表面に亜鉛膜を被覆してから硝酸溶液で剥離し、これをもう一度亜鉛置換する方法をダブルジンケート法といいます。このダブルジンケート法が一般的に採用されている処理方法で、亜鉛置換された表面には水洗後、そのままめっきをすることが可能です。
弊社でもこの方法を採用しております。
アルミ材へのめっきのページにもめっき工程の説明がありますのでそちらも参考にしてください。

②ステンレス
ステンレス材は表面に薄く強固な酸化膜をもっており、錆びにくいという特徴を持っています。
それだけにめっきをする際は普通の前処理ではめっきの密着性が悪くなってしまうため、塩酸に浸漬し活性化した後に、塩酸をベースとしたニッケルめっき液でめっきを薄く析出させて、通常のめっき工程に入ります。


参考文献
絵とき「めっき」基礎のきそ(プレーティング研究会)日刊工業新聞社
新めっき技術(関東学院大学出版界)丸善出版株式会社

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