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めっきの前処理で大切な『脱脂洗浄』とは

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めっきの前処理で大切な『脱脂洗浄』とは

前月のめっきの手法についての記事は如何だったでしょうか?
今月はめっき工程について足を踏み入れたいと思います。

めっきの前処理で大切な『脱脂洗浄』とは

めっきを施す素材は、金属やプラスチックなど多岐にわたります。
素材にはそれぞれ特徴があり、素材によっては加工した際に汚れが付着してしまうものなどがあります。
そのため、めっき加工を行う際は素材の特徴に合わせた加工や付着物(錆や油汚れ)などの除去作業が必要になります。
そうした工程を『前処理』と呼びます。

難しく考えがちですが、化粧=メイクと同じで、下準備として洗顔や化粧水、乳液などを使用してメイクしやすい状態に顔を整えるのと同じと考えてください。

めっきという仕上げのメイクを行うための下準備が、前処理と考えられます。
今回は、洗顔にあたる『脱脂洗浄』へ焦点を当てます。

1.脱脂の必要性
素材表面には様々な汚れが付着しています。
プレス、鋳造、機械加工、研磨、溶接、熱処理などの加工によって付着したもので以下のようなものがあります。

・機械油
・成型用潤滑油
・防錆油
・研磨剤残渣
・金属スマット

こういったものが残った状態では、密着性が良く綺麗なめっき皮膜を付けることができず「めっき不着」・「めっき剥がれ」・「めっきふくれ」などの、めっき不良となり製品不具合の原因になります。
そのためめっき工程では、まず脱脂洗浄を行います。

2.脱脂の種類
脱脂洗浄には以下のような工程があります。

①溶剤洗浄
油を溶剤へ溶解させることによって、脱脂する方法です。
トリクレン、トリエタンなどを使用した脱脂は昔から利用されていますが、環境への配慮ということでできるだけ使用しない方向性になっています。

②アルカリ浸漬脱脂
溶剤を使用せずに、水溶液を使用する安価で安全な脱脂方法です。けん化作用によって油脂を溶解することで脱脂します。また、界面活性剤を入れることで、分散・乳化作用を促進させ、けん化作用を受けない鉱物系の油も脱脂できるようになります。キレート剤などを入れることで、錆やスマットなどの除去も可能です。

③アルカリ電解脱脂
アルカリ脱脂液中で、電解することで酸素または水素ガスを発生させることで脱脂を行います。
浸漬脱脂より脱脂効果があるので仕上げの洗浄と使われます。

銅のコインを②のアルカリ浸漬脱脂を10秒ほど実施した写真です。
処理をしないものは黒ずんでいる状態ですが、アルカリ脱脂浸漬後は綺麗な金属の色が確認できます。







如何だったでしょうか。

ニシハラ理工のめっきラインにおいても、まずは脱脂洗浄を行った上で次の工程に入ります。
次の記事では、金属の種類により前処理が異なりますのでご紹介します。
酸処理、金属素材ごとの前処理

ニシハラ理工では、めっき加工を行う素材に適した脱脂洗浄→前処理→下地めっき加工→仕上めっき加工を行っております。
めっき加工、めっき付着、めっき剥がれ、めっきふくれなど、表面処理や不具合などでのお困りごとがありましたら、お気軽に、ぜひ弊社までお問い合わせ下さい。
お問い合わせはこちら


参考文献
絵とき「めっき」基礎のきそ(プレーティング研究会)日刊工業新聞社
新めっき技術(関東学院大学出版界)丸善出版株式会社

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