
アルミ材は、軽量化や導電性などの特性から、車載部品や電気・電子部品など幅広い用途で使われています。
アルミ材を長期間使用する場合には、腐食や酸化による表面状態の変化が気になります。特に、めっきや接合、導電性が求められる部品では、表面の変化が部品に求められる性能へ影響しないかを考える必要があります。
そのため、アルミ材を長期間使用する部品では、腐食が起こる仕組みだけでなく、表面状態の変化が部品の性能にどう関係するかまで考えることが重要です。
この記事では、アルミの腐食・酸化の基本から、長期間使用する部品で考えておきたい表面処理、後加工、接合、使用環境まで整理します。
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目次
アルミはなぜ腐食する?その仕組みと注意したい環境
アルミは、空気中の酸素と反応して表面に酸化皮膜を形成します。この酸化皮膜がアルミ材の表面を保護するため、アルミは比較的腐食しにくい金属として知られています。ただ、アルミが腐食しないわけではありません。
水分や湿度、異種金属との接触、薬品など、使用される環境によっては表面状態が変化し、腐食が進むことがあります。特に部品として使用する場合は、アルミ材そのものの性質だけでなく、どのような環境に置かれるのかを考えることが重要です。たとえば、水分や湿気にさらされる環境なのか、異なる金属と組み合わせて使用するのか、薬品などの影響を受ける可能性があるのかによって、表面に生じる変化も変わります。
そのため、「アルミは腐食するのか」という問いに対しては、アルミそのものだけを見るのではなく、どのような条件で使用されるのかまで含めて考える必要があります。
アルミの腐食・表面状態の変化は部品性能にどう影響する?
アルミの腐食というと、表面の変色や白い粉など、外観上の変化を思い浮かべるかもしれません。工業部品では、外観だけでなく、表面状態の変化が部品に求められる性能に影響しないかを考える必要があります。
たとえば、アルミ材を導電性が求められる部品として使用する場合、表面状態や接触状態は電気的な特性と関係します。接触する部分の状態が変化すれば、接触抵抗について考える必要があります。電流が流れる部品では、電気抵抗と発熱との関係も無視できません。
また、他の部品と接合して使用する場合には、接合部の状態も確認が必要です。部品として完成した直後には問題がなくても、実際の使用環境では温度や湿度などの条件が変化します。長期間使用するのであれば、こうした環境変化の中でも、部品に求められる性能を維持できるかを考えておく必要があります。
温度変化についても同じです。アルミ材は温度によって寸法が変化するため、異なる材料と組み合わせる場合や、接合・組立を伴う場合には、材料の熱膨張についても考慮する必要があります。
長期信頼性を考えるときは、腐食や酸化による外観の変化だけを見るのではなく、表面状態や接合状態、電気的な特性などが使用中にどう変化し、部品に求められる性能を維持できるかまで考えることが重要です。
アルミ材へのめっきで長期使用を考えるときに確認したいこと
アルミ材へのめっきでは、表面に形成される酸化皮膜への対応が重要になります。アルミ材の表面状態を整え、後工程のめっきとの密着を考慮するため、めっき前の前処理が重要な工程になります。
代表的な前処理の一つがジンケート処理です。ジンケート処理はアルミ材へのめっき前処理の一部として行われるもので、アルミ材へのめっきを成立させるうえで重要な役割を持ちます。長期使用を考える場合は、前処理だけでなく、めっきの種類や厚さ、使用するアルミ材、めっき後の加工、接合方法、使用環境など、部品として使用される条件を合わせて考える必要があります。
たとえば、めっき後にプレスや曲げ加工を行う場合、加工による表面状態の変化を考慮する必要があります。また、めっきされた部分が他部品との接触・接合に使われる場合には、相手材や接合方法も含めて条件を整理することが重要です。
このように考えると、「アルミ材にめっきができるか」という初期の判断と、「その部品が長期間使用できるか」という判断は同じではありません。めっきの仕様だけでなく、最終的にどのような部品として使われるのかまで確認できれば、長期使用を前提とした表面処理の検討につなげることができます。
長期使用を前提に表面処理だけでなく使用条件まで考える
実際の部品では、図面にめっき仕様が記載されていても、最終的な使用環境や後工程まで分からない場合があります。そのため、表面処理を検討するときには、確認できる範囲で使用条件を整理することが重要です。
確認したいのは、たとえば次のような項目です。
・どのような製品・部品に使用されるのか
・水分や湿度などの影響を受ける環境なのか
・使用時の温度や温度変化があるのか
・電気を流す用途なのか、接触部として使用するのか
・めっき後にプレス・曲げなどの加工があるのか
・他の部品との接合・組立があるのか
・量産時にも同じ条件を安定して維持できるのか
すべての情報を最初から把握できるとは限りません。実際には、エンドユーザーや最終用途が開示されないケースもあります。その場合でも、図面や加工条件など、確認できる情報から使用条件を整理していくことが必要です。また、実際に不具合が発生した場合には、表面に変化が見られたからといって、原因をめっき工程だけに求めることはできません。素材の状態、めっき前に存在していた傷、めっき後の加工など、別の工程が関係している可能性もあります。不具合の原因を正しく把握するには、発生した状態だけを見るのではなく、材料から表面処理、後工程までの状況を確認し、原因を切り分けることが重要です。ニシハラ理工では、めっきに関する不具合について分析・解析を行い、原因の特定に取り組んでいます。
>>関連記事:分析・解析
ニシハラ理工が考えるアルミ材の長期信頼性
アルミ材の長期信頼性を考えるとき、ニシハラ理工では、材料やめっき仕様だけでなく、後加工、接合、使用環境などを含めて部品としての条件を整理することが重要だと考えています。
アルミ材へのめっきでは、酸化皮膜への対応を含めた前処理が必要になります。さらに、めっき後にどのような加工が行われるのか、どのような部品と組み合わせるのか、電気的な用途なのか、どのような環境で使用されるのかによって、確認すべき内容は変わります。
長期信頼性を考えるうえでは、初期のめっき状態だけでなく、長期間使用した後も部品に求められる性能を維持できるかという視点が重要です。
ニシハラ理工は、IATF16949の認証を取得しており、品質管理体制のもとで量産に対応しています。また、めっき後に発生した不具合について、めっき工程だけでなく、材料や後工程を含めて原因を分析・解析し、原因の特定に取り組んでいます。
アルミ材への材料置換やめっきを検討する際、腐食や酸化だけでなく、導電性、接触、接合、後加工、使用環境などを含めて条件を整理することで、長期使用を前提とした表面処理の検討につなげることができます。
アルミ材へのめっき、材料置換、腐食や表面状態に関するお困りごとがありましたら、まずはご相談ください。


